江東区の心療内科/精神科【浅川クリニック】菊川・森下駅最寄り。うつ病,パニック障害

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院長コラム

「コロナパニックうつ病」に克つ!②

テレワークうつ病の症例①
イラスト

コロナウイルス感染症拡大にともない、テレワークする人が増えている。
テレワークが始まった半年間はうつ病は少なかった。
しかし一年八カ月が過ぎた今、テレワークうつ病が増加している。

三二歳の女性の場合。テレワークをするようになって一年が過ぎた。
果たしてテレワークをいつまで続けられるか自信をなくした頃から、寝つきが悪くなった。
ベッドに入っても、二時間~三時間で眼がさめる。一日中体がだるい、重い感じがする。
通勤していた頃は、適度の早歩きで会社に向かっていた。
「帰宅すると夕食の仕度と、子供の保育園への送り迎え」をしなければならなかったが、手際よく動三けていた。
それがテレワークになってから、家事ができなくなった。
コンビニの弁当や、スーパーの弁当を買って済ませるというように日常の生活において手抜きをしないと、テレワークの机に向かう気分になれなかった。
そんなこんなで、何とかこなしているうちに、体の関節に痛みが発生してきた。洗濯物を干すのが苦痛だった。

そのうちに、全く朝起きられなくなった。
どうすることもできなくなり、夫に支えられて診察に訪れた。

彼女が体の痛みに苦しむようになる前、一人でテレワークをする中で、悩んでいたことを聞いてみる。
問診を始めたところ、「会社の人たちは、私のことをどう思っているのか、毎日気になって仕方なかった」と言った。
そして、テレワークをしているうちに、「解雇される」不安がつきまとっていた、と打ちあけてくれた。

テレワークうつ病の原因は、彼女のような悩みが毎日ストレスとなって重くのしかかっていることである。
そのため、脳の分泌ホルモンである「セロトニン」や「ドーパミン」の排出が少なくなってしまうのである。
そして体を守ろうとする自律神経の働きが鈍ることで、体に痛みが生じたと考えられる。

彼女に、「悩みを自分から作り出さないように」と注意した。
そして、テレワークうつ病になった理由を説明した。

①生活環境の変化がうつ病の原因になる。
毎日出勤で早歩きで駅へ向かっていた。それがなくなった。

②同僚との会話がなくなった。
人は人と顔を合わせて話すことで、無意識にストレスを発散している。
テレワークにより、会話量が減った。

③同僚や上司に仕事内容の不安をすぐ聞くことができていたが、テレワークなのですぐに聞けず、不安のまま、仕事を続けなくてはいけなくなった。

大きく分けて、以上のような1~3の事柄が挙げられる。
環境が変わってしまい、体は、環境の変化に馴れようとするが、不安材料が多くなればなるほど、体と心が環境変化についていけない。
そこで自律神経の乱れが生じてしまい、寝付けなくなる。うつ病を発生させる。
うつ病の症状は、個人、個人で異なる。

なぜなら、仕事内容や仕事量が個人、個人で違うからだ。
また、個人個人には体力と精神力の差がある。
ストレスに強い人とストレスに弱い人との差が出てしまう。テレワークでは特に差が大きく出てしまう。

彼女に、以上の説明をして一週間に一度、
●薬の調整、確認をしに来てもらっている。
●日常生活で、前向きになれるように、バルコニーでの菜園づくりと朝の運動(早歩き)を二五分してもらっている。

その結果、

●一週間目はたいした効果は出なかった。
●二週間目から寝つきも改善、家事の洗濯、掃除ができるようになった。
●三週間目から保育園の送り迎えができるようになった。

少しずつではあるが回復傾向が出ている。

●一番喜んだのは、夫であった。妻の代わりに家事をこなしてかなり応えた様子だった。

男性は家の中のこまごました作業を、負担に感じる人が多い。
しかし、夫にとって妻が当り前にしている家事を手伝うことで、テレワーク中のストレスが減り、家での仕事も楽しいと思える。
そうなることで、テレワークうつ病が発生しにくくなる。

意外に、夫が身近な作業を手伝うことで妻は、「自分だけが働いている。嫌なことばかりしている」と思わなくなり、日常の悩みは改善されていくことになる。

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